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IoT開発 事例まとめ

現場の機器・空域・ウェアラブル ── 「画面の外」につながる開発の実績
2026年8月24日 / 株式会社ピースフラットシステム 営業チーム
出典:Google Drive「新三郷浄水場」案件フォルダ / Notion「顧客別提案資料」/ 自社ニュースリリース

00この資料は何か

まとめの目的

業務システムやアプリの開発は、画面とデータベースの中で完結します。一方 IoT は、現実に存在する機器・設備・環境とつながるため、まったく別の難しさがあります。

本資料は、弊社がこの領域で実際に手がけた3案件を整理したものです。「IoTもできます」ではなく「この現場を、こう解いた」という形で使えるようにしています。

取扱いについて。 社内共有用です。顧客名・自治体名を記載しているため、このまま外部に提示しないでください。外部提示時は各事例の匿名表記をご利用ください。
クラウドが使えない現場、他社製の既設機器、
止められない設備 ── そこが弊社の戦える場所です。
3案件はいずれも「制約のある現場」でした。

013案件のサマリ

領域と進捗状況

案件領域要点状況
新三郷浄水場
太陽光監視・警報
産業設備 IoT
(閉域網)
太陽光発電の計測データを監視表示し、異常時にネットワーク制御信号灯(パトランプ)で警報発報 納品済
点検フェーズ進行中
ドローン航路 空域・モビリティ 世界初となるドローン航路の開通事例。経済ニュース WBS で紹介 開通済
2025年3月
SB C&S
GLIDiC AI
ウェアラブル
×音声AI
イヤホン・レコーダーを起点とした音声AI活用。次世代デバイス向け機能拡張を提案 提案中
別途セミナー実績あり

※ 状況は各案件の資料から確認できた範囲での記載です。営業で使う際は最新状況をご確認ください。

CASE 01 / 産業設備 IoT(閉域網)
新三郷浄水場 太陽光発電監視表示および異常警報システム
通称「浄水場パトランプ」案件 / 納品物:AirSTATUS for PCS
エンドユーザー
埼玉県 水道整備事務所 / 新三郷浄水場(三郷市南蓮沼地内・延床 24,367.20㎡)
元請
新電気様(電気設備工事業)
匿名表記
自治体の水道施設(電気設備工事業A社経由)
対象設備
太陽光発電設備 370kW / パワーコンディショナー 3台構成
計測機器
株式会社ラプラス・システム「Solar Link ZERO-T4」(他社製・既設)
警報機器
ネットワーク制御信号灯(パトランプ)NHB4/NHB6 シリーズ
時期
2026年1月〜(案件概要書 2月)/ 3月 納品 / 5月〜 点検フェーズ

何が難しかったか

1
セキュリティ上、クラウドが使えなかった
計測機器 Solar Link ZERO-T4 は、本来メーカーのクラウド(L・eye)へデータを送信できる仕様です。しかし浄水場という重要インフラのためクラウド利用は不可。浄水場内LANで完結するオンプレミス構成が前提でした。「クラウドに上げて可視化」という一般的な解が最初から封じられている状態です。
2
他社製の既設機器から、データを取れるか分からなかった
ZERO-T4 からのCSV出力は仕様上ダウンロード可能と確認できていたものの、LAN経由での自動取得(FTP等)が可能かどうかは未確認。ここが取れなければ設計が根本から変わります。事前検証が必須の論点でした。
3
最適な表示方式が決まっていなかった
既設のラプラス標準表示画面と動画サイネージの併用運用が想定されており、技術的な最適解が確定していない状態からのスタートでした。

表示方式を3案で比較検討した

① HDMI切替方式
ラプラス標準表示画面を別PCで表示し、動画再生の終了をトリガーにHDMIを自動切替。UIの独自構築は行わない。最も作らない案で、コストは低いが物理機器への依存が残る。
② CSV取得+独自表示方式
ZERO-T4 から1分値CSVを取得し、ローカルPCで整形して独自画面を生成。1分更新のサイネージ表示。表示の自由度は最も高いが、CSV自動取得の可否が前提条件になる。
③ 単一PC統合方式
1台のPCで監視表示と動画再生を統合制御し、アプリケーション制御で画面遷移。HDMI物理切替を不要化できる。保守性が高い一方、こちらもCSV自動取得の可否が前提。

3案をコスト・安定性・保守性・セキュリティ制約の4軸で比較し、決めていただく形にしました。「これが最適です」と言い切らず、判断材料を揃えて渡す進め方です(マーケティング支援事例まとめの CASE 03 と同じ考え方)。

異常検知から警報発報までの流れ

Solar Link
ZERO-T4
発電電力・電力量
日射量・気温
パワコン状態
CSV取得
1分値
場内LAN経由
異常判定
ロジック
更新停止/発電ゼロ
パワコン異常
監視表示
大型モニターへ
1分更新
警報発報
PC音声出力
/ 既設回転灯

パトランプ(ネットワーク制御信号灯)でできること

本件で扱った NHB4/NHB6 は、単に光るだけの回転灯ではなくネットワーク機器としての機能を内蔵した信号灯です。調査した結果、以下が可能でした。

分類内容
制御手段HTTP/HTTPS コマンド、SNMP Set コマンド、SSH/RSH コマンド、ソケット通信(PNS/PHN)、本体クリアボタン
表示・鳴動最大5段の信号灯を段ごとに点灯・消灯・点滅制御(点滅4パターン)/ブザー5パターン、80dB以上
通知メール通知(8箇所・SMTP認証/OAuth2・SSL/TLS対応)、SNMP Trap/Inform(8箇所)、HTTP通知(8箇所)
外部監視機能Ping監視(24ノード・3グループ)、SNMP Trap受信、SNMP対応機器の状態監視、PLCのデバイス情報読込(SLMP/MCプロトコル、FINS)
設置条件屋内・IP20・0〜40℃、Ethernet(10/100/1000BASE-T)、IPv4/IPv6デュアルスタック
ここが提案の勘所でした。 信号灯自体が Ping監視・SNMP監視・PLC読込といった監視機能を内蔵しているため、「何でもかんでもシステム側で作る」必要がありません。既製品でできることは既製品に任せ、作るべきところだけ作る。これができるかどうかで、見積も納期も保守性も変わります。他社製機器の仕様書を読み込むところから始めるのが、この領域の実力差です。

誤報を出さないための設計

案件概要書に明記された論点の1つが「誤報防止ロジック設計(連続判定、復旧判定)」でした。

浄水場のような現場では、誤報が一度でも続けば警報そのものが無視されるようになります。そうなると、システムは存在しているのに機能していないという最悪の状態になります。異常値の定義(更新停止・発電ゼロ検知・パワコン異常)と同じかそれ以上に、「異常でないものを異常と言わない」設計が重視されました。

スコープの切り分け

弊社スコープスコープ外
・表示方式の技術選定およびアーキテクチャ設計
・ZERO-T4 からのCSV取得方式検証(自動取得可否含む)
・表示ロジック設計
・異常判定ロジック設計
・警報出力方式設計(PC音声/接点出力連携)
・太陽光計測機器の設定変更
・HDMI物理配線設計および切替機器選定(元請担当)
・モニター設置工事
・クラウド環境構築

工事案件では、どこからどこまでが誰の責任かを最初に文書で切ることが極めて重要です。本件では案件概要書の時点でスコープ外を明記しています。

納品と、その後

  • 2026年3月:「AirSTATUS for PCS」として納品。機器構成資料・操作説明書を提出。現地での動作記録(動画・写真)あり
  • 2026年5月〜:「パワコン警報発報システムの点検」フェーズへ。点検内容一覧、システム構成図(E-06)、全体系統図(E-07)、帳票システム新設平面図・配線図(E-21)を整備
営業で使えるポイント。 納品して終わっていないことが最大の材料です。納品から2ヶ月後に点検フェーズへ移行し、図面レベルの資料を整備している。「作って渡して終わり」の会社との違いは、この継続性で示せます。設備系・インフラ系の顧客には特に効きます。
CASE 02 / 空域・モビリティ
ドローン航路の開通
世界初 / 浜松市・秩父エリア / WBS(ワールドビジネスサテライト)で紹介
時期
2025年3月27日 正式開通
エリア
浜松市および秩父エリア
意義
世界で初めてとなる「ドローン航路」の開通
メディア
経済ニュース WBS(ワールドビジネスサテライト)にて当事例が紹介
参考
https://peaceflat.com/news/250424dronehfreah/

この事例の営業上の価値

1
「世界初」という一言が持つ説得力
技術力の説明を1000字書くより、「世界初のドローン航路開通に関わり、WBSで紹介されました」の一文のほうが早く伝わります。初回商談の会社紹介パートで、最も反応が返ってくる材料です。
2
物理世界を扱う会社だと示せる
アプリ開発会社は数多くありますが、空域・インフラといった現実世界の領域に関わっている会社は多くありません。IoT・産業機器・モビリティ系の商談で、土俵が違うことを示せます。
3
公的・大規模プロジェクトへの参画実績になる
自治体・インフラ系の顧客は、実績の「重さ」で発注先を判断します。浄水場案件(CASE 01)と組み合わせると、公共・インフラ領域での2枚看板になります。
要確認事項。 現時点で参照できた社内資料(Notion提案書・自社ニュースリリース)では、本件における弊社の具体的な担当範囲・技術スコープが明記されていません。提案書では「弊社体制のご紹介」内の実績として掲載されています。
顧客から「具体的に何を担当されたのですか」と踏み込まれた際に答えられるよう、担当範囲を社内で確認し、この資料に追記することを推奨します。実績として出す以上、深掘りされる前提で準備しておくべき項目です。
CASE 03 / ウェアラブル × 音声AI
SB C&S株式会社様 / GLIDiC AI
イヤホン・レコーダーを起点とした音声AI活用(次世代デバイス×AI活用アイデア集)
顧客
SB C&S株式会社(ソフトバンクグループの流通事業会社)
匿名表記
大手通信グループの流通事業会社
対象製品
GLIDiC AI(AI搭載イヤホン・レコーダー)
既存機能
文字起こし・要約・AIアドバイス
提出物
追加機能提案書「次世代デバイス×AI活用アイデア集」(全14案)
担当
関川 すず
状況
提案中(提案書提出済み。受注確定ではありません)

提案の構成

ハードウェアはそのままに、アプリ+クラウドAI側のアップデートで実現できる機能拡張を10案、さらに新デバイスにカメラ・ディスプレイが載った場合の提案を4案、計14案を提示しました。

#提案ターゲット
リアルタイム商談コーチAI(会議中にイヤホンで助言)法人(営業)
音声感情分析AI(声のトーンから相手の温度感を推定)法人(営業・CS)
対面リアルタイム翻訳(オフラインの対面シーンで差別化)法人+個人
オープンイヤー×常時AIアシスタント個人
音声メモ → タスク・予定の自動生成法人+個人
会話セマンティック検索(過去の会話を自然言語で検索)法人
音声ヘルスケアAI(咳・声の震えから体調推定)個人
スマートサウンドAI(環境音認識・危険音検知)個人
AI語学コーチ(ながら学習)個人+法人
ポッドキャスト・音声コンテンツのAI要約個人
⑪〜⑭映像AI認識/業務支援AR(倉庫・工場・店舗)/ライフログカメラ/AI店頭接客サポートスマートグラス等を想定

この提案書の設計思想(他案件にも転用できます)

1
「もう他社がやっている」を強みに変換した
提案機能の一部はすでに他社製品にあります。それを隠さず、「もう他社がやっている」のではなく「市場が求めていることが証明されている」と位置づけました。そのうえで、ハードとクラウドAIを一気通貫で持つ顧客の強みを、統合体験として活かす形に接続しています。
2
既存機能の延長と、先取り機能を分けた
既存デバイスで実現できるもの(①〜⑩)と、新デバイス前提のもの(⑪〜⑭)を分離。「今すぐ着手できる話」と「将来の話」を混ぜないことで、判断しやすい資料にしています。
3
技術的な制約を先に開示した
「ウェアラブルはバッテリーが小さくAI自体をデバイスに載せるのは困難。デバイスはセンサーとして使い、AI処理はスマホ経由でクラウドで実行する」という前提を明記。できないことを先に言うことで、できることの信頼度を上げています。

関連実績:ソフトバンク社での音声AI企画

別途、ソフトバンク社にて音声AIをテーマとしたセミナーを実施しています。企画名は「音声AI頂上決戦 〜矛盾(ほこ×たて)対決〜」。「絶対に受付突破する音声AI」と「絶対に通さない音声AI」を対決させる、という構成でした。

営業で使えるポイント。 本案件の提案書は、そのまま他案件のテンプレートとして流用できる完成度です。「既存ハードのまま実現できる拡張」+「将来デバイスを見据えた提案」+「技術的制約の先出し」という3部構成は、ハードウェアを持つメーカー全般に効きます。実際、T&Dレグルス様(TPMS)の追加機能提案も、この構成を下敷きに作成しています。

023案件から見える、弊社のIoT対応領域

何ができる会社だと言えるか

領域具体的にできること根拠となる案件
他社製機器の仕様調査と接続計測機器・産業機器の仕様書を読み込み、データ取得手段(CSV/FTP/HTTP/SNMP/PLCプロトコル)を特定して接続設計するCASE 01
閉域網・オンプレ構成セキュリティ制約でクラウドが使えない現場で、構内LANのみで完結するシステムを構築するCASE 01
異常判定と警報発報異常値の定義、誤報防止(連続判定・復旧判定)、警報出力方式の比較・設計CASE 01
産業用ネットワーク機器の制御ネットワーク制御信号灯、PLC(SLMP/MCプロトコル・FINS)、SNMP対応機器CASE 01
現地調査・現地試験現地に赴いての機器確認・撮影・動作試験。納品後の点検フェーズまで継続対応CASE 01
ウェアラブル×クラウドAIデバイスをセンサーとして扱い、スマホ経由でクラウドAI処理する構成の設計。低遅延ストリーミングCASE 03
音声インターフェース文字起こし・要約・TTS・音声通知の設計と実装CASE 03
空域・モビリティドローン航路プロジェクトへの参画CASE 02 (範囲要確認)
公共・インフラ領域自治体施設、公共プロジェクトでの実績CASE 01・02

03この領域で勝つための共通パターン

3案件に一貫して見られる進め方

1
「できません」ではなく「まず確かめさせてください」
浄水場案件では、CSVの自動取得可否が未確認のまま始まっています。それを隠さず「事前検証が必要である」と案件概要書に明記したうえで進めました。IoTでは不確定要素をゼロにできません。不確定を不確定として扱える会社が信頼されます。
2
既製品でできることは、既製品に任せる
パトランプが Ping監視・SNMP監視・PLC読込を内蔵しているなら、それを使う。作らない判断ができることが、実は技術力です。全部作る提案は高くなり、保守も重くなります。
3
選択肢を、判断材料ごと渡す
表示方式3案をコスト・安定性・保守性・セキュリティで比較。SB C&S では14案を分類して提示。「これが正解です」ではなく「決められる状態にする」のが一貫した型です。
4
制約を先に開示する
バッテリー制約、クラウド不可、自動取得未確認 ── いずれも都合の悪い前提を先に出しています。後から出てくると信頼を失いますが、先に出せば誠実さになります。
5
誤報・誤検知を最重要リスクとして扱う
安全・警報に関わるシステムでは、止まることより「嘘をつくこと」のほうが致命的です。この認識を提案段階から示せる会社は多くありません。

04現在進行中の案件との接続

T&Dレグルス様 TPMS APP 案件への活かし方

進行中の T&Dレグルス様 TPMS APP(Version 2) は、本資料の3案件がそのまま効く商談です。

TDR案件で問われること対応する実績
BLEセンサーとスマホの連携CASE 03(ウェアラブル×クラウドAI)。デバイスをセンサーとして扱い、処理をスマホ/クラウドに寄せる構成の設計経験
他社製センサーの仕様解析CASE 01。他社製計測機器の仕様書を読み込み、データ取得手段を特定して接続した実績
誤報を出さない警報設計CASE 01。連続判定・復旧判定による誤報防止ロジックの設計実績
音声通知(TTS)CASE 03。音声インターフェースの設計・実装経験
実機・現地での検証CASE 01。現地調査から現地試験、納品後の点検フェーズまでの一貫対応
安全に関わる製品としての姿勢CASE 01。インフラ設備の警報システムを手がけた経験そのもの
商談での言い方の例。 「弊社は、浄水場の太陽光発電設備で、他社製の計測機器からデータを取り、異常を判定して警報を鳴らすシステムを納品しています。クラウドが使えない閉域網という条件下でした。センサーからデータを取り、しきい値で判定し、人に知らせる ── 御社のTPMS APPは、まさに同じ構造です。扱う機器がパワコンからタイヤに変わるだけです。」